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ワークライフバランスの実現に向けて

労働基準法第六章の二 妊産婦等

~女性保護は母性保護にシフト~

労働基準法が制定・施行された当初(戦後)は、女性労働者については出産等の母性機能を持ち、また男性労働者に比べて体力的に劣るとの認識に基づき、年少者と同様の特別な保護を行うために「女子及び年少者」という章を設けて労働条件及び母性保護の両面において保護を図っていました。

しかし、女性の高学歴化や職場進出等の国内事情の変化や、1975年の国際婦人年宣言、女子差別撤廃条約の採択等、女性労働者に対して母性保護を除き特別な保護よりも男女平等を徹底すべきという国際的動きを背景として、労基法における女性保護規定の研究報告がなされ、女性保護規定の見直しや雇用分野における男女の平等法制定の必要性が提言されました。

このような保護か平等かが大きな争点となっていた状況の中で、①女性に対する特別な保護措置は、女性の能力発揮や職業選択の幅を狭める場合があり、母性保護は別として、本来廃止すべきものである。また、②労働時間をはじめとした労働条件など労働環境や女性が家庭責任を負っている状況を考慮し、かつ女性の就業と家庭生活との両立を可能とするための条件整備措置をとることが必要との基本的立場が示され、男女雇用機会均等法が成立、それに伴って労基法も改正、女性保護規定は一般女性への保護規制が大幅に緩和され、主に妊産婦への保護および女性の母性機能保護に関する規定となり、第六章の二の表題も「女性」から「妊産婦等」に変更となりました。


妊産婦等の保護規定 労働基準法第六十四条の二~第六十八条

労基法第六章の二においては、先にも記載のとおり主に妊産婦の保護、また一部一般女性にも適用される保護を規定しています。その内容を以下に列挙します。


  • # 01

    抗内業務の就業制限

    ・保護対象:①妊娠中の女性(妊婦)*0、②出産後1年以内の女性(産婦)*1、③①②以外の満18歳以上の女性

    0:「妊娠中の女性については、坑内労働に就かせてはならないが、女性労働者が妊娠しているか否かについて事業主は早期に把握し、適切な対応を図ることが必要であり、そのため、事業場において女性労働者からの申出、診断書の提出等所要の手続きを定め、適切に運用されることが望ましいこと。」との通達があります。

    1:抗内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出ることが必要

    ・保護内容:①②の女性を抗内で行われるすべての業務に就かせてはならない。

          ③の女性を抗内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として定められた業務*2に就かせてはならない。

        ※「抗内」の定義については、労働基準法第六章 年少者雇用を解説 坑内労働の禁止 参照

         *2:・人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(以下「鉱物等」という。)の掘削又は掘採の業務

                                  ・動力により行われる鉱物等の掘削又は掘採の業務(遠隔操作により行うものを除く。)

                                  ・発破による鉱物等の掘削又は掘採の業務

                                  ・ずり、資材等の運搬若しくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務(鉱物等の掘削又                                    は掘採に係る計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、保安管理その他の技術上の管理の業務並びに鉱物等の掘削又は掘採                                      の業務に従事する者及び鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務に従事する者の技術上の指導監督の業務を除く。)


  • # 02

    危険有害業務の就業制限

    ・保護対象:①妊娠中の女性(妊婦)及び②出産後1年以内の女性(産婦)、③妊娠中の女性及び出産後1年以内の女性以外の女性(その他の女性)

    ・保護内容:①②③の女性について、・就かせても差支えない業務・女性が申し出た場合就かせてはならない業務・女性を就かせてはならない業務に区分して、女性則において規定*3しています

    3:別表1重量物を取り扱う業務、別表2妊産婦等の就業制限の業務 参照

  • # 03

    産前産後

    ・保護対象:①6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性*4

          *4:使用者への請求が必要

          ②産後8週間を経過しない女性

    ・保護内容:①の女性について、女性から請求があった場合に、その者を就業させてはならない。(産前休業)女性が請求をしない場合には就業させることができる。

          ②の女性について、就業させてはならない。(産後休業)産後休業は女性からの請求の有無に関わらず、就業禁止です。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合に、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能です。


  • # 04

    軽易業務への転換

    ・保護対象:妊娠中の女性*5

    5:使用者への請求が必要

    ・保護内容:他の軽易な業務に転換させなければならない。

    通達では、法は原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽

    易な業務を創設して与える義務まで課したものではないとされています。


  • # 05

    妊産婦の労働時間

    ・保護対象:妊娠中の女性及び出産後1年以内の女性(妊産婦)*6

    6:使用者への請求が必要

    ・保護内容:①1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制の適用がある場合でも、法定労働時間(8H/日・40H/週)を超えて労働させることはできない。

          ②災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合、公務のため臨時の必要がある場合及び時間外労働・休日労働に関する協定が締結されている場合であっても、時間外又は休日に労働させることはできない。

          ③深夜時間帯に労働させることはできない。

           なお、時間外労働、休日労働又は深夜業に関して、「時間外労働若しくは休日労働についてのみの請求、深夜業についてのみの請求又はそれぞれについての部分的な請求も認められ、使用者はその請求された範囲で妊産婦をこれらに従事させなければ足りるものである。請求内容の変更があった場合にも同様である。」との通達が発出されています。

           ※妊産婦が労基法第四十一条の「労働時間に関する規定の適用除外」に該当する場合には、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されないが、深夜業に関する規定は適用されるため、①②は適用されないが、③は適用されることになります。


  • # 06

    育児時間

    ・保護対象:生後満1年に達しない生児を育てる女性*7

    7:使用者への請求が必要

    ・保護内容:労基法第三十四条に定められた休憩時間とは別に、1日に2回各々30分以上*8、その生児を育てる時間(育児時間)*9を与えなければならない。

    *8:    「育児時間は、労働時間の始め、途中、終わりのいずれの時間に与えてもよい。育児時間を有給とするか否かは、当事者の自由であり無給でもよい。」

          との通達があります。これに関しては、法は育児時間の回数及び最低時間数を定めてはいますが、それがいつ与えられるかは定めていないため、基本的には当事者の合意によります。したがって、女性労働者が希望する場合、まとめて1日1時間の育児時間を与えることもできるとされています。

    「託児所の施設がある場合に往復時間も30分の育児時間に含まれると解する取扱いは違法ではないが、往復時間を除けば育児時間がかなり短くなるため、往復の所要時間を除き実質的な育児時間が与えられることが望ましい。」

    また、「1日の労働時間を8時間とする通常の勤務態様を予想し、その間に1日2回の育児時間の付与を義務づけるものであって、1日の労働時間が4時間以内であるような場合には、1日「1回」の育児時間の付与をもって足りる。」との通達が発出されています。

    *9:生児への哺乳その他の世話のための時間

  • # 07

    生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置

    ・保護対象:生理日の就業が著しく困難な女性*10

    10:   生理日において下腹痛、腰痛、頭痛等の強度の苦痛により、就業の困難な女性をいう。

          使用者への請求が必要

    ・保護内容:生理日に就業させてはならない。*11

          「女性が現実に生理日の就業が著しく困難な状態にある場合に休暇の請求があったときはその者を就業させてはならないこととしたものであり、生理であることのみをもって休暇を請求することを認めたものではないことはいうまでもないこと。」と通達されていて、あくまでも「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」であることが強調されています。

    なお、休暇中の賃金については、法においては支払いを義務づけてはいないことから、有給でも無給でも差支えありませんが、休暇日数に応じて就業規則その他により精皆勤手当を減額したり、特別手当金の算定の出勤率計算に当たって欠勤として扱うことについて「当該女性に著しい不利益を課すことは法の趣旨に照らし好ましくない。」と通達されていて、判例においても、女性への不利益取扱いが生理休暇の取得を困難としたり、権利の行使を抑制するような場合には、法の趣旨を失わせるものとして無効とされています。

     

    *11:   休暇の日数については、「生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な一般基準は定められない。したがって就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。ただし、有給の日数を定めておくことはそれ以上休暇を与えることが明らかにされていれば差支えない。」との通達が発出されています。

          

    生理日の就業が著しく困難かどうかについては、「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならないが、その手続きを複雑にすると、制度の趣旨が抹殺されることになるから、原則として特別の証明がなくても女性労働者の請求があった場合には、これを与えることにし、特に証明を求める必要が認められる場合であっても、医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく、一応事実を推断せしめるに足れば充分であるから、例えば同僚の証言程度の簡単な証明によらしめること。」との通達があります。

     

    休暇の付与単位については、「休暇の請求は、就業が著しく困難である事実に基づき行われるものであることから、必ずしも暦日単位で行われなければならないものではなく、半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させなければ足りるものである。」との通達が発出されています。


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少子化や人口減少によって様々な問題が取り上げられる中、政府もそれを食い止めるべく各種の政策を進めようとしています。そのような状況 において、企業としても人口問題に協力し取り組まなければ将来的な成長と安定を望むことができなくなる恐れもあります。労働基準法第六章の二の妊産婦等の女性の母性保護規定は企業の将来の成長と発展のためには、大変重要な地位を占めるものですので、しっかり遵守しなければならないものと言えるでしょう。


そうするためには、労基法第六章の二に基づく法律の理解が必要です。労働基準法第六章の二は妊産婦という表題から窺えるとおり、女性の母性保護を主眼に置いた規定であり、女性の母性保護のために使用者に様々な規制を課しています。これらの規定を守ることで企業はまずは冒頭の人口問題に取り組むことができるのです。規定されている内容は、実施するに当たって、決して困難なものでも高度なものでもありません。これらの規定を遵守することで、女性の母性機能保護に配慮することができます。逆に各規定の違反に対しては罰則の定めが用意されていますので、注意が必要です。



罰則について紹介しますと、第六十四条の二(抗内業務の就業制限)規定への違反については1年以下の懲役または50万円以下の罰金、第六十四条の三(危険有害業務の就業制限)第六十五条(産前産後)第六十六条(妊産婦等の労働時間等)第六十七条(育児時間)規定への違反については6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)規定への違反については30万円以下の罰金が定められています。


罰則の規定もありますので、労働基準法第六章の二の規定を理解し、しっかりと実践しましょう。その際に、疑問や不安等ありましたらお気軽にお問い合せください。私たちアクサリス社会保険労務士事務所では、妊産婦の就業に関する課題について、専門の社労士が初回無料で相談を承ります。
妊産婦を守る労働基準法の理解と実践が重要であることを再認識し、必要なサポートを受けることで、未来を築く力を育んでいくことが必要です。

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