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みなし労働時間制

三通りのみなし労働時間制がある

みなし労働時間制とは、実際の労働時間に関係なく一定の時間働いたものと「みなす」制度です。

労働基準法は1日の労働時間の算定について、事業場外労働、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の三通りのみなし労働時間制を規定しています。

特定の状況下もしくは労使協定の締結等の一定の手続きを経て適用することができ、原則規制に寄らずに労働時間の算定を行うことができます。

  • 事業場外のみなし労働時間制

    労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間の算定が困難な場合に、①原則として所定労働時間または②業務を遂行するために通常所定時間を超えての労働が必要な場合には、当該業務の遂行に通常必要な時間労働したものとみなす制度。

  • 専門業務型裁量労働制

    業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねる業務として法令等で定められた専門的な業務に従事する労働者が労使協定で定めた時間労働したものとみなす制度。

  • 企画業務型裁量労働制

    事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査および分析の業務であって、業務の性質上、これを適切に遂行するために、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者に委ねる業務に従事する労働者が労使委員会の決議で定めた時間労働したものとみなす制度。


専門業務型裁量労働制導入の流れ

適切な導入と運用のために

  • 労使協定を過半数労働組合又は過半数代表者と締結

    協定で定める事項は下記。

    ①対象業務(法令等で定められた20業務)

    ②1日の労働時間として算定される時間(みなし労働時間)

    ③対象業務の遂行の手段や時間配分の決定等に使用者が具体的指示をしないこと

    ④適用労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉確保措置の具体的内容

    ⑤適用労働者からの苦情処理のために実施する措置の具体的内容

    ⑥制度の適用に当たって労働者本人の同意を得なければならないこと

    ⑦制度の適用に同意しなかった労働者に不利益な取扱いをしてはならないこと

    ⑧制度の適用に関する同意の撤回の手続き

    ⑨労使協定の有効期間(みなし時間は時とともに変化するため3年以内が望ましい)

    ⑩労働時間の状況、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の実施状況、同意及び同意の撤回の労働者ごとの記録を協定の有効期間中及び有効期間満了後5年間(当分の間3年間)保存すること



  • 制度の適用に関して労働者本人の同意を得る

    令和6年4月1日の法改正によって、改正前は必要とされてはいませんでしたが、専門業務型裁量労働制を適用する場合には労働者本人の同意を得ることが必要とされ、同意しない場合でも解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないとされました。また、一旦同意した場合でも撤回できるように撤回の申出先・担当者、撤回の申出方法等同意の撤回に関する手続きを定めておくこととされています。さらに同意の撤回後の処遇等についてもあらかじめ定めておくことが望ましいとされています。不適切な制度の適用によって労働者に過重な労働が課されることがないようにする配慮だと思われます。

  • 協定届を労働基準監督署へ届出て、制度実施

    労使協定締結後、専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第十三号)によって労働基準監督署に届出なければなりません。これによって、労働者は協定で定めた1日のみなし労働時間労働したものとみなされます。

    制度実施に当たっては、協定締結時に確認済の内容となりますが、

    ①対象業務の遂行の手段や時間配分の決定等に関して、使用者が具体的指示をしない

    ②対象業務の内容等を踏まえて適切な水準のみなし時間を設定し、給与等相応の処遇を確保する

    ③適用労働者の健康・福祉措置を実施する

    ④適用労働者からの苦情処理措置を確保する

    ⑤同意しなかった労働者や撤回した者に不利益な取扱いをしない

    ⑥労働時間の状況、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の実施状況、同意及び同意の撤回の労働者ごとの記録を協定の有効期間中及び有効期間満了後5年間(当分の間3年間)保存すること

    等に留意して運用することが重要です。

法令等で定められた20業務

専門業務型裁量労働制の対象業務とは?

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    新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務

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    情報処理システムの分析又は設計の業務。プログラムの設計・作成を行うプログラマーは含まれない。

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    新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法第二条第二十八号に規定する放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務。記者に同行するカメラマン業務や単なる校正の業務は含まれない。

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    衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務。考案されたデザインに基づき、単に図面の作成、製品の製作等の業務を行う者は含まれない。

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    放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務。

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    広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)。

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    事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)。プリケーションの設計又は開発の業務、データベース設計又は構築の業務は含まれない

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    建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務。内装等の施工など建設業務、専ら図面や提案書等の清書を行う業務、専ら模型の作製等を行う業務、家具販売店頭における一定の時間帯を設定して行う相談業務は含まれない

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    ゲーム用ソフトウェアの創作の業務。専ら他人の具体的指示に基づく裁量権のないプログラミング等を行う者又は創作されたソフトウェアに基づき単にCD-ROM等の製品の製造を行う者は含まれない

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    有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)。ポートフォリオを構築又は管理する業務、一定の時間を設定して行う相談業務、専ら分析のためのデータの入力・整理を行う業務は含まれない

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    金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務。金融商品の企画立案又は構築の業務、金融商品の売買の業務、市場動向分析の業務、資産運用の業務、保険商品又は共済の開発に際してアクチュアリーが通常行う業務、商品名の変更のみをもって行う金融商品の開発の業務、専らデータの入力・整理を行う業務は含まれない

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    学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る)。

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    銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)。

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    公認会計士の業務。


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    弁護士の業務。

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    建築士の業務。他の建築士の指示に基づいて専ら製図を行うなど補助的業務を行う者は含まれない。

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    不動産鑑定士の業務。

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    弁理士の業務。

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    税理士の業務。

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    中小企業診断士の業務。中小企業診断士の資格を有する者であっても、専ら中小企業診断士の業務以外の業務を行う者は含まれない

労働基準法は専門業務型裁量労働制について、使用者が労使協定を締結して労働者を対象業務に就かせたときには、当該労働者は対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間労働したものとみなすとし、労働者に就かせることとする業務を施行規則及び告示において列挙しています。その業務について、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をすることが困難な業務としています。ここで挙げられた業務は、使用者による指示・管理が及ばないものですので、労働時間について労使協定で定めた時間労働したものとみなすこととされています。

メリットとデメリット

みなし労働時間の算定方法

労使協定で定める時間

  • Point 01

    みなし時間の検討方法

    対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間を検討するに際しては、当該業務の遂行に必要とされる時間を定めることが重要です。対象業務に従事する労働者は、自らの裁量により、業務遂行の手段、時間配分等を決定して労働することになり、各日の労働時間には長短が生じることもあり得ると考えられますが、各日の平均的な時間を業務の遂行に必要な時間として定めなければ、実態に即したものとはならず、不都合が生じることが考えられます。実際は10時間掛かる業務なのに、恣意的に所定時間の8時間と定めることは許されません。

  • Point 02

    労使協定で定める

    専門業務型裁量労働制適用のためには労使協定の締結が大前提です。労働基準法第三十八条の三第一項においては、協定に定める事項について列挙されており、第二号において「対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間」を定めることとされています。つまり、この協定で定めた時間が対象業務に従事した労働者の1日の労働時間となります。(みなし時間)


  • Point 03

    協定締結時の留意点

    労使協定は対象業務の実態に即して労働時間の算定が行われるようにするため、その実態を熟知している労使で協議して、「対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間」が定められることが必要です。したがって、協定の当事者は実際に対象業務に従事しており、その実態をよく理解した者の意見を聴いて協議が行われることが望ましいとされています。算定される時間について安易に決めてしまうことはトラブルの基になる可能性があり、労使の信頼関係を損なうことにもなりかねませんので、慎重な協議が望まれます。

注意すべき法律と制度

専門業務型裁量労働制を導入する企業においては、さまざまな法律や制度の理解が必要不可欠です。この制度が提供する柔軟な働き方を最大限に活用するためには、関連する法令や規則についての事前の理解が肝要です。

まず第一に、専門業務型裁量労働制は労働基準法に基づく制度であるため、労働基準法の全体像を正確に把握し、その内容に従って運用することが求められます。特に、休憩時間、深夜業、休日の管理や労働条件の明示に関する規定等は厳格に遵守しなければなりません。これを怠ると、法的なトラブルを引き起こす可能性があるため、十分な注意が必要です。さらに2024年4月1日からは、制度の適用について対象労働者の同意を得なければならないこと、同意の撤回に関する手続き及び同意をしなかった又は撤回した労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと等が規定されたことから制度を適用するに当たってのハードルが厳格化された感は否めません。専門業務型裁量労働制を導入する際には、労働者との合意形成が極めて重要です。労働者が自身に適用される制度や労働条件を理解し、受け入れることができるように、十分な説明を行うことが求められます。制度に対する理解が不十分な場合、従業員の間に不安や不満が生じ、業務の遂行やモチベーションに影響を及ぼす可能性があります。

次に、専門業務型裁量労働制を適用する業務の範囲についても留意すべきです。この制度の適用は特定の専門的な業務に限られており、その適用業務が列挙されたどの業務に該当するのか明確でない又は制度の対象とならない業務に適用させているというような場合、適用に関するトラブルの原因となってしまいます。したがって、制度の適用に際しては、業務内容や必要なスキルを正確に確認し、法的に認められる範囲内で運用することが重要です。

また、専門業務型裁量労働制を運用する上でのリスク管理も忘れてはいけません。労働環境や労働条件の変化に対応するためには、定期的に内容の見直しを行い、必要に応じて改善策を講じることが重要です。特に労使協定の有効期間に関して、「当該業務の遂行に必要とされる時間は、一般的に、時とともに変化することが考えられるものであり、一定の期間ごとに協定内容を見直すことが適当であるので、当該協定には、有効期間の定めをすること」「労使協定の有効期間については、不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましい」と行政通達で示されていることからも、制度適用の定期的な見直しを推奨しています。これは、労使間の信頼関係を築くためにも欠かせないプロセスです。

以上のように、専門業務型裁量労働制の運用にあたっては、関係法令の理解、労働者との合意形成、業務内容の明確化、リスク管理のための制度の見直しなど、多くの要素に留意しながら進めていくことが求められます。これにより、制度の適切な運用が確保されることになるでしょう。

注意すべき法律と制度
まずは無料相談を!

専門業務型裁量労働制の導入を検討されている皆様へ、私たちアクサリス社会保険労務士事務所では、初回無料相談のサービスを提供しております。この制度の運用にあたり、多くの企業が直面する課題や不安を解消するために、専門家による適切なアドバイスが不可欠です。

専門業務型裁量労働制は、従業員が専門的な業務を担当する場合に、労働時間や勤務形態を柔軟に設定できる制度です。導入することで、従業員は自分の裁量で働く時間を決められるため、ライフスタイルに合った働き方を実現することが可能になります。しかし、その運用にあたり、法律や制度の理解が求められることはもちろん、企業としてもさまざまな準備や配慮が必要です。

初回の無料相談では、お客様のご状況やニーズを詳しくお伺いし、専門業務型裁量労働制がどのように貴社に適用できるかを具体的にご提案いたします。また、導入に際しての具体的な手続きや注意点についても詳しく説明させていただきますので、安心してご相談いただけます。私たちが目指すのは、ただ制度を導入することではなく、企業と従業員の双方にとって有益な労働環境を創出することです。

制度の導入後も、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな運用ができるようなサポートを継続的に行います。専門業務型裁量労働制を成功裡に運用するためには、変化する法律や制度に対する適切な知識のアップデートが欠かせません。経営者の方も、従業員の方も、私たちと一緒によりよい環境を実現していきましょう。

まずはお気軽にご相談ください。皆様のご連絡をお待ちしております。

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